机上の空論と手記

都会で生きたい

スターとヒーローになりたい。

スターとヒーローは違う。

ロックスターとギターヒーローは、たとえロックスターがギタリストであっても全くの別物だ。

ロックスターは世界中にいる。大きなステージから何万人を熱狂させるスター。

 

そしてヒーローの数は、スターよりもずっと多い。

酸欠になる程狭いハコでさえ埋められないアマチュア貧乏バンドマンも、路上で警官に注意されているシンガーソングライターも、FUJI ROCKでメインステージの大トリを務めるようなバンドのメンバーも、みんな平等にヒーローになれる。

世界中のどこかの誰かの「世界一」になれる。

バンドマンはそういう職業だと思う。

 

私はロックスターになりたい。

ずっと見上げ続けているあのステージからの景色を手に入れたい。

そして、私のヒーローの、ギターヒーローの隣に立つのだ。

私もヒーローになれるはずだ。

ひとりの人間である以前に、ロックスターでありたい。

誰かに勇気を与えたいなんてクサいことは言わない。

ただただ「ヒーローになりたい」。

初めて人前でギターを弾いたあの瞬間の、

空気が自分のもとへ集まる感覚。

周りの音が消える、静寂の音。

意味もなく「これだ」と感じた時の鳥肌。

それを忘れられないだけ。

ステージの上で死にたい。