創作、散文。
名前をつけてはいけない感情がある。
目にしてはいけない異物がある。
気づいてはいけない事実がある。
目覚めてはいけない夢がある。
その答えに辿り着いてしまった時、きっと全てが終わってしまう。
この程度で傷付いているようでは生きていけないほど些細な悪意なんて
道を歩けばいくらでも落ちている。
この程度で喜んでいては笑われてしまうほど小さな幸せだって
探さなくても転がっているはずだ。
極めて簡単な話だった。
私はここにはいない。ここに存在してはいけない。
いっそ気付かない方が良かったのかもしれない。
私はどこに在ればいいのだろう。
君のいない世界で生きられるだろうか。
君に出会わないままで死ねるだろうか。